


かながわけんあしがらしもぐんまなづるまち
神奈川県足柄下郡真鶴町
東京から約85km、横浜から約55kmに位置している神奈川県で2番目に小さな町。
箱根火山の外輪山麓と半島から構成され、相模湾に向かって傾斜する町には温かな陽光が差し込みます。
半島の形状が、鶴が羽を広げた姿に見えることが地名の由来とされています。
「お林」の名で親しまれている原生林や最高級品といわれる本小松石の採掘場があり、
その間を縫うように、車も通れない背戸道があちこちに伸びています。
歩けば歩くほどに、個性豊かな人々に出会うことができます。
時は1980年代後半、バブル景気における開発ラッシュの波が真鶴にも押し寄せてきました。
そんな折の町長選挙で、開発反対を掲げる三木邦之氏が当選。
三木町長、弁護士、都市プランナー、建築家を中心に、真鶴の風景を守るための運動が始まりました。
さまざまな活動の中で特筆すべき点は、数字ではなく言葉を重視した点。
「町の良いところ」を「美しいもの」と定義し、8個の基準を設け、さらに69の言葉でそれを表現しました。
「“真鶴らしさ”とは何か?」それらが盛り込まれたのが、「真鶴町まちづくり条例」、
通称「美の基準」だったのです。
この条例は1993年に制定され、翌年に施行。
これにより、真鶴の景観は守られたのでした。
この「美の基準」は制定から30年以上たった現在にも引き継がれています。
2023年には制定30周年を記念したさまざまなイベントが開催されました。
それは過去を振り返る単なるお祝いではなく、これからを見据えたものでした。
数字ではなく言葉だからこそ余白があり、今を生きる人々の心が書き加えられていったのです。
林が海を育む。
真鶴の航空写真でもっとも目を引くのが神奈川県立真鶴半島自然公園です。
ここには樹齢350年を超えるクロマツをはじめ、スノキやスダジイなどの巨木が生い茂る原生林です。
明治維新以降、皇室御料林として保護されてきました。
1947年には国有林に、1952年には真鶴町に払い下げられました。
地域の人々はここを「お林」と呼んでいます。
自然や歴史への敬意を含みつつ、どこか生活の一部になっている親しみを感じます。
